快適度別!?ビバークグッズリスト

3〜10月無雪期のビバークを想定したグッズリストです。レベルが上がるごとに快適度が上がりますが、当然装備重量も比例して増えていきます。自分の体力なり耐寒力なりポリシーなりと相談して、いずれかのレベルで装備を揃えられるとよいでしょう。

※あくまで無雪期の想定です。雪山ではレベル7でも死ぬ人は死にます。
 雪山登山をしたい方は山岳会等の講習会を受けてください。


レベル1「生きる」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
最低限のビバークグッズ。この場合のビバークはツェルトを張らず、木や岩など背もたれになるものを見つけてもたれ、頭からツェルトをかぶる。あらかじめシート型レスキューシートをリペアテープで筒状に成形しておき、それに潜り込む。「三角座り」の体勢で体表面積を最小限におさえ、熱の発散を防ぐ。この体勢では眠ることはできないし体の節々も痛くなるが、とりあえず凍死の危険や耐えがたい冷えからはある程度逃れられる。
なお、リペアテープは救急箱のガーゼテープ等で代用できるかもしれないが、持っておくとザックカバーに穴が空いた時の修繕などに役立つので、持っていた方が良い。また、ツェルトを張らないので細引きも必要ないといえばないのだが、靴ひもが切れた時など何かと重宝するので、これも常備した方が良い。長さは10〜15m。

レベル2「生きる+」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
レスキューシート(筒型)またはシュラフカバー
レベル1と同じく三角座りビバークになるが、筒型レスキューシートやシュラフカバーを使えば、熱の逃げ口が少なくなるので、より保温性が高くなる。
なおレスキューシート(シート型)は、ビバーク用途以外に登山仲間がケガや病気で意識不明の時の保温グッズとしても必要なので、装備からは外さない。ビバーク時には筒型レスキューシートの肩口の冷え防止に使ったり、シュラフカバーの場合はカバーに巻いてテープでとめ、より保温効果を増すといった使い方ができる。
真夏(7・8月)の低山では、普通にツェルトを展張して、シュラフカバーにくるまるだけで十分眠れる。エアマットがあれば言うことなし。

レベル3「まどろむ」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
ストーブ(バーナー・ボンベ)
細引きを使ってツェルトを張り、レスキューシート(シート型)を敷く。そしてツェルト内で火をたく。狭いツェルト内で火をたくと非常に暖まる。ただし換気と火災には十分に気をつけること。ツェルト内が暖まったら火を消し、横になって眠る。やがてだんだん冷えてきて目が覚める。火をたく。消火してまた眠る。また目が覚める・・のくり返しのうちに朝になる。くれぐれも火をつけたまま寝ないこと。
ストーブはビバーク用という以前に昼食調理用に持っていく人が多いと思うので、このレベル3がそこそこ快適かつ極端な装備増加にならない、もっとも中庸なビバークセットと言える。

レベル4「眠る」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
シュラフ(圧縮キャップでコンパクト化)
細引きを使ってツェルトを張り、シュラフにレスキューシート(シート型)を巻いてテープでとめる。3月・10月あたりはこれでもまだ寒いが、とりあえず死ぬことはないし、うつらうつら眠れる。ただしマットがないので、地面が柔らかい腐葉土などでない限りは、腰や肩が痛くなって時々体位を変えなければならず、熟睡はできない。また、一晩たつとシュラフは結露でグッショリになるので、単独行の場合など、長期ビバークに耐えなければならない場合(救援が来るまで2日以上かかることがありうる場合)はつらい。

レベル5「眠る+」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
シュラフ(圧縮キャップでコンパクト化)
レスキューシート(筒型)またはシュラフカバー
レベル4の保温力・防水力強化版。筒型シートかシュラフカバーをシュラフにかぶせて使う。この場合レスキューシート(シート型)は床に敷く。
筒型レスキューシートは保温力は相当だが、透湿性皆無なので、レベル4と同じく一晩たつと自分の体から出た水分(汗)でシュラフはひどく湿気てしまう。一晩だけなら良いが、長期ビバークが想定される場合はつらい。汎用性を考えても、日帰り専門の人以外は、筒型シートよりシュラフカバーを購入した方がよい。透湿性と保温力を併せ持つシュラフカバーなら、長期ビバークも心強い。けっこう値は張るが・・。

レベル6「快眠」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
シュラフ(圧縮キャップでコンパクト化)
レスキューシート(筒型)またはシュラフカバー
エアマット
ここまでくるとテント泊とほとんど変わらない。細引きを使ってツェルトを張り、レスキューシート(シート型)・エアマットを敷いてシュラフ+シュラフカバーにくるまって寝れば、途中で目覚めることなく一晩快眠できる。でも万一の事態に対してここまで備えるのはやりすぎ。これはどちらかというと、軽量化のためにテント泊をやめてツェルト泊にする場合の装備である。

レベル7「セレブ」
救急箱、非常食、ヘッドランプ、下着類(ウールなど保温性の高いもの)
合羽、ツェルト、レスキューシート(シート型)、リペアテープ、細引き
シュラフ(圧縮キャップでコンパクト化)
レスキューシート(筒型)またはシュラフカバー
エアマット
ストーブ(バーナー・ボンベ) 、やかん、飲み物、マグカップ、ペットボトル
レベル6でもやりすぎであるが、それでもまだ寒いという寒がりな人はコレ。レスキューシート(シート型)・エアマットを敷き、ストーブで火を焚いて、ツェルト内を暖めるとともにやかんで湯を沸かす。唐辛子たっぷりのインスタントスープを飲んで体を温める(あるいは日本酒も、体を温める効果がある)。熱湯を入れても大丈夫なペットボトルに沸かした湯を入れ、適当なスタッフバッグに入れて湯たんぽ代わりにする。カバー付きシュラフにくるまって寝る。
これをおすすめする気はさらさらないが、ストーブ以下の装備は昼食や休憩用にももちろん役立つので、しじみは結果的にレベル7に近い装備をしていることが多い。バカでかい荷物のおかげで、日帰り登山なのによく縦走登山者に間違えられてユーウツ。

もしパーティーの誰一人として、レベル1の装備すらも持たないパーティーがあったとしたら、それは山に死にに行くのと同じです。道に迷わない人間、ケガをしない人間はいません。山には病院もないし救急車も来ません。ヘリは来るかもしれませんが、すぐ見つけてもらえるとは限りません。ケガをして、気温は10度以下で、雨降りで・・最悪の状況を考えて、それでも生き延びるためのグッズを、必ず持つようにしてください。

このページを閉じる