レトルトカレー+リッチごはん

= しじみのカレー遍歴 =

キャンプ料理の王道と言えばカレーです。高校山岳部時代には、連泊登山の夕食にカレーが必ず入っていました。ニンジンやらジャガイモやらを丸ごとかつぎ、テント場につけば皮をむいて切って炒めて、家で作るのと同じ要領で、しっかり一から調理をしていました。ご飯も普通の米を炊いていました。
若かったあの頃、何も怖くなかったしじみたちは手を抜くことを全く考えず、重い荷物をしょって、手間ひまかけて料理を作っていました。

あれからどれくらいたったのだろう。沈む夕陽をいくつ数えたろう
大人になったしじみは、体力を失った代わりにちょっとばかり頭を使うようになり、登山食料・調理具の軽量化や調理の簡便化を考えるようになりました。

カレーを作るにしても、今はこんなに軽くて便利なものがあります。乾燥した具材をもどすのに時間がかかるので昼食向きではないけど、キャンプの夕食なら全然問題ナシです。

ご飯だって、お湯を注いで待つだけでできるアルファ化米があります。これら2つで立派なカレーライスが作れて、高校時代に比べれば驚くほどの軽量化と省力化。これぞ大人の登山料理の決定版!と思って満足していたのですが・・。やがて何回か食べるうちに、この山岳グルメシリーズにもいろいろ不満が出てきました。

◆ 乾燥野菜が、もどしても今ひとつおいしくない。
◆ 1食分の量が少ない。1袋では絶対足りない。
(あと、正味の量が65g前後なのに栄養成分を100g当たりで書くのはズルい)
値段が高い。

いやあのその、そうはいっても山岳グルメシリーズはすごく頑張った商品だとは思うんですよ( ^-^;)野菜は多く摂れるし、具はともかくルーはおいしいし、それに驚異的に軽いし。値段は高いけど、けっして不当に高いわけではないのです。軽量化最優先のハードな縦走であれば、味には多少目をつぶるとして、これを1人当たり1.5〜2袋もっていくのが最も妥当と思われます。

しかし、1泊2日程度のテント泊や、連泊でも避難小屋泊まりなどの、比較的装備に余裕がある場合は、もう少し軟派路線に走ってもいいのではないか。コスト削減も考えるべきではないか。近頃はそう思うようになってきました。

そこで新たに浮上したのが、レトルトカレー。最近では200g以上のたっぷりサイズも多いし(それだけ重いのは覚悟の上ですが・・)、かつて某社が提唱した「具が大きい」キャンペーンにより、各社とも具のサイズ・量がアップしました。それにもちろんレトルトの具の野菜の方が、乾燥野菜より味は上です。
値段も特売で100円前後だし、高い物でも200円強。作る時はお湯を沸かすだけだし、お湯はまた別の用途に使えるし、鍋も翌日に続投できる。考えてみると重量以外はそんなに軟派でもないし、なかなか便利な食品ではないでしょうか。

しかししかし。かつて魔法瓶カレーの項でも書きましたが、いかに具が大きくとも、レトルトカレー+アルファ化米だけではなんかわびしい。昭和枯れすすきのようにわびしい。せめてもう少し豪華にしたい。でもレトルトだからルーに何か加えることはできないし、ただの添えるだけの付け合わせなら、福神漬かピクルスぐらいしか思いつかない。うーん、どうしたものか・・。

そこでふとひらめきました。
「ルーがダメなら、ご飯の方を工夫してみては・・?」

はい!というわけで、ここからやっと本題に入ります。(前フリ長すぎ)
そう、今回のテーマは、「ご飯をリッチにすることで、レトルトカレーでも豪華な夕食になる」という試みなのです!!

用意したのは、アルミパックのアルファ化米、レーズン、そしてガーリックトーストスプレッド(長いので以下GTS。メーカーはキューピー)。


いつもフラッシュまぶしくてごめんなさい

GTS(右上)はその名のごとく、ガーリックトースト用の、ニンニクとパセリを混ぜ込んだマーガリンです。開封後も常温保存がきくスグレモノです。レーズンは洋菓子用のラム酒漬けだとえらく高いですが、おつまみコーナーで安く売っているもので十分です。

では作り方。アルファ化米の袋を開け、レーズンをちらし、GTSをしぼり入れます。

GTS入れすぎ( ^-^;)もっと少なくてもいいです。

沸かしたお湯を注水線まで入れ、よーく混ぜてからチャックを閉じます。そして15〜20分待ちます(アルファ化米ができあがるまでの時間は、メーカーによって違います)。

ご飯のできあがり時間に合わせて、再び湯を沸かしレトルトカレーを温めます。今回はあえて具の少ない安物のカレーを使いました。メーカーはナイショ( ^-^;)箱の写真もメーカーがばれるので載せません・・。

できあがったアルファ化米をおそるおそる開けてみると、おお!予想以上にうまそうな、レーズン入りガーリックバターライスになっているではありませんか!写真では分かりにくいかもしれませんが、ところどころにパセリの緑が散って、色合いも良いです。そして写真では絶対分かりませんが、ニンニクの香りが立ちのぼって、非常に食欲をそそります。



毎度ながらの家で調理ですが、流し台ではなく地べた、
陶器ではなくアルミのコッヘルだと思い込んでください。


そして、カレーをかけてできあがり!レトルトカレーなんだけど、なんだかセレブなお店の本格カレーのようです。ニンニクの刺激的な味がカレーの単調さをカバーし、レーズンの甘みがカレーの辛さと絶妙のコントラスト。そしてバター(本当はマーガリンだけど)のコク。実際にGTSによってカロリーははね上がっているはずで、一皿で満腹満足の、ボリュームある一品になりました。大成功!!

このリッチご飯のいいところは、材料を他の料理にも使えることです。レーズンはそのまま酒のつまみにしてもいいし、朝食・昼食メニューに加えて彩りにすることもできます。GTSは翌朝ガーリックトーストを焼いてもいいし、炒め物に使えばニンニクの風味がしっかり効いてウマーです( ^-^ )最悪持って帰ることもできるし、ムダがなくていいですね。

というわけで、これでレトルトカレーでも、わびしさを感じることなく山で食せます!
(今までも別に感じてなかったって? ^-^;)これからは山でレトルトカレーの時代だぜ!
また、家でカレーを食べる時も、同じ要領でレーズンとGTSを炊飯器に入れて混ぜて炊けば、簡単ガーリックライスの完成!おお何だか伊藤家の食卓みたいだぞ!!

・・今回判明したのはそれだけではありません。
「アルミパックのアルファ化米(白飯タイプ)に適当な具を入れて湯を注ぐことで、ちょっとした混ぜご飯ができる」ことが分かったのも大きな収穫です。火を通す必要があるものは無理ですが、例えば缶詰の焼き鳥を加えて「とり飯」にしたりとか、工夫次第でいろいろできそう!オラ何だかワクワクしてきたぞ〜。

喫緊の課題といたしましては、「レトルトの牛丼・中華丼をさらにボリュームアップするリッチご飯」の開発を検討しております。
アルファ化米に何を加えれば、和風・中華風のリッチご飯になるか?いい裏ワザアイデアが浮かんだ方は、ぜひぜひ教えてくださいね!(結局他力本願)



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