【赤坂山・三国山】 滋賀県高島市


■本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

赤坂山・三国山/2006.7.15


その2人は、一生出会わないはずだった・・。


※都合により画像処理を行っております

友人MKさん。当サイトを彩る2大キャラクターは、しじみの策謀によってずーーっと引き合わされることがないはずでした。

しかしKさんサイドから、「しじみのギャグはもう飽きたからたまには他の人を加えて登山したい」という要請が次第に高まり、頼まれると断れないタイプのしじみは(というか単に気が弱い)、ついに自ら封印を破って、3人登山を挙行することにしたのでした。

・・という話が出たのは、実は今年(2006年)の初め頃のこと。そして白状しますと、すでに春4月に、我々は鈴鹿の霊仙山で第1回3人登山を行っていたのでありました。これは別に内緒にしていたわけではないのですが( ^-^;)、コースに新味がないのでサイトでは紹介していません。

第1回は意外なことにとても盛り上がり、和気藹々のうちに無事幕を閉じました。そして以後、3人登山は年に数回恒例で行われることになったのでした。こんなはずじゃなかったのに

というわけで、今回は早くも第2回の3人登山。行き先は滋賀県が誇る高原リゾート、マキノです。マキノ駅で集合し、Mの車でマキノスキー場(夏期はキャンプ場)へ。キャンプ場の駐車場は有料っぽいので、その手前の空き地に駐車しました。地域にお金落とさなくてごめんなさい。

最初はスキー場の敷地内の平坦な道をテクテク歩き、ペチャクチャしゃべります。話題は3人の共通ネタであるミリタリー話や「AKIRA」の話など。どこの同人サークルだ。

しかし急登に差しかかると、いつしかMとKさんは無言になってしまいました。2人ともバテはじめたのです。普段はこのくらいの登りでへばる2人ではないのですが、どうも2人ともこのところ仕事が忙しくて体調管理が良くできてなかったようです。

師匠が書いておられるように、バテというのは他人がバテていると自分は不思議とバテないもので、しじみは舌好調でジダンの頭突きがどうのこうのとかバテた2人に話題をふりまくり、余計に追い討ちをかけたりしていました(最低)。そんなことをしているうちに、登りも緩やかになり、1回目の休憩にちょうど良い広場「武奈ノ木平」に着きました。


深刻な話をしているのではなくバテているだけです

写真のように、ここには大きな東屋があり、休憩や雨宿りにぴったりです。東屋で休んでいるうちに、MもKさんも回復し、普段の調子が出てきました。快速で遅れを取り返し、主稜線上の峠「粟柄越」に到着。写真がないのが悔やまれますが、ここの尾根は見晴らしが良く道も整備されていてとても素敵です。赤坂山へはここから一登りで着きます。

赤坂山の頂上は、100人乗ったら大丈夫じゃないかもしれませんが、そこそこの広さです。そして360度の素晴らしい展望。ここで昼食にします。3人が3人とも、他の人に内緒でゼリーやプリンといったデザートを人数分用意していたことが判明。さらにMとKさんはジュースも3本ずつもってきていて、もうかぶりまくりです。3人ともどんだけミツグ君体質なんでしょうか。デザートだけでお腹いっぱいです。

昼食後、しじみは写真を撮ろうと言い出しましたが、他の2人に却下されました。「今は他のハイカーも多くて邪魔になるし、また戻ってくるんだから、その時に撮ればいい」との主張。そう、実は当初の計画では、ここ赤坂山から三国山まで行って、また引き返して、稜線をずっと南に下った所にある峠「寒風」からマキノスキー場に下りるという計画だったのです。それもそうか、ということで写真はあきらめ、稜線をさらに北に進みます。

続いて現れたのは、稜線上でぽっかりと草木が禿げて、風化した岩がむき出しになっている砂礫地帯。その名も「明王ノ禿(みょうおうのはげ)」です。山岳信仰におけるありがた〜いご本尊である明王様(不動明王?)をつかまえて、「ハゲ」とは何たるネーミングでしょうか。昔の人もたまには茶目っけを出すものですね。

この「明王ノ禿」も眺めが良く、見どころの多い岩場なのですが、ここもまた「また戻ってくるから」という理由で写真を撮らずじまい。そして三国山へ向かいます。うっそうとしたブナ林の中は、夏にもかかわらず涼しげ。快調にとばして三国山に着きました。


諸般の事情により隣のKさんはカットしております

三国山の頂上はごく狭く、木々に囲まれて眺望もありません。頂上で出会ったハイカーによると、木の葉が落ちる冬は、琵琶湖側の眺めがそこそこ良いそうです。

さらに、そのハイカーから、重大な情報がもたらされました。

「君たちはこれからどうするの?え、赤坂山に引き返す!?
 そりゃたいへんだねえ。僕らは黒河越(くろこごえ)を通って帰るよ」
「え?でも黒河越の林道は土砂崩れで通行止めなんじゃ・・」
「いや大丈夫、車は無理だけど、歩いてなら通れるよ」

我々はとまどいました。事前の調べで、黒河林道はかなり大規模な土砂崩れが起こっていてハイキングは危険、と聞いていたからです。だから往路を引き返してマキノスキー場に戻るコースを考えてきたのです。しかしこれが通れるとすれば・・この時点でそこそこ疲労していた我々は、また赤坂山に登り返すことに正直ゲンナリしていました。そこにこの情報を得たので、MとKさんが「黒河林道で帰ろう」と言い始めました。

おさまらないのはしじみです。
「赤坂山と明王ノ禿で写真撮ろうって言ったじゃないかあぁ!!」
「あ・・そうやな。でもまた登るのしんどいなあ。夕立も降りそうやし」
「それに、しじみちゃんのサイトって、写真なくても大丈夫やん」
「・・・。(内心で同意している)でも、林道すごく長いですよ」
「長くても、登りじゃないからいいよ。ねえ、そうしようよ」

というわけで、赤坂山と明王ノ禿の写真がないのはここでしじみが折れたからです。

三国山でしばらく休んで、黒河越に下りていきます。林道出合の所で、さっき重大情報をもたらしてくれたハイカーたちに再び出会ったので、声をかけました。

「林道の土砂崩れの場所って、ここから近いんですか?」
「さあ?僕ら行ったことないから分かんないよ
「ええっ!?」

そうなんです。この方たちはどうやら福井から来たらしく、滋賀側の土砂崩れは実際に見ていないのです。見ていないくせに、伝聞だけであんなことを言ったのです。このくわせ者オォ!

自分の言動の不手際にまったく気づいていないハイカーにガンをとばしながら、我々は少し離れて作戦会議。

「どうする?戻る?」
「今さら戻るのもなあ」
「きっと大丈夫だよ、車は通れなくても、歩いてなら通れるって」

・・というわけで、もう一度登り返すことの嫌さに、我々はそのまま林道を進むことに決めました。まあそれで結果オーライだったのですが、後から思い返せば、この時はものすごーく遭難者にありがちな心理状況だったと思います。あの「八甲田山死の彷徨」の進藤特務曹長のような(マニアック ^-^;)、根拠のない楽観的判断というか・・。

ちなみにその土砂崩れの場所は、そこから1時間余りも下った、ほとんど林道最終地点の辺りでした。

こりゃあ確かに車は無理です。上を歩いて越えられましたが、雨降りだったりしたら二次災害を起こしそうで怖いです。これから赤坂山・三国山に行ってみたい人は、特に荒天時は、黒河林道は利用しないでください!この道は利用者が少ないのか、復旧の目途も全くたっていないそうですし・・。

林道が終わっても、その後もやっぱり延々続く舗装道。コース図を見ていただければ分かりますが、このコースは実に半分が林道&舗装道なのです。起伏がないのでバテることはありませんが、足に疲労がたまってきました。そしてKさんがボソリとつぶやきました。

Kさん
しじみ
「も〜長いよ〜この道〜」
「だから長いって言ったじゃないですか」

・・しじみはしばしばこのようにして女性を瞬間湯沸かし器のように怒らせます。
けっして故意ではないのですが。(余計悪い)

Kさんをなだめながら白谷集落を越え、ようやくスキー場近くまで戻ってきました。
お天気はギリギリのところで持ちこたえてくれず、長い長い舗装道もついに終わりにさしかかった頃、堰を切ったように雨が降り出してきました。我々は合羽を着込んでしばらく歩き、やがて雨足がさらにひどくなったので、近くにあった「マキノ観光会館」のひさしの下に逃げ込みました。

しかしここから駐車地点までは、まだ少し距離があります。しばらく雨宿りして待つか・・と思ったその時、Mが荷物だけ置いて、雨中に踏み出しました。「俺が車をとってくる」
そして駆けだした彼の背中は憎たらしいほどカッコ良く、Kさんもしばし見とれておりました。
ちくしょういいとこもっていきやがって

その後はMが車とともに無事戻ってきて、そのまま3人とも車に乗り込んで、Mの住む長浜まで直行。焼肉屋でうちあげ会となりました。「美食の限りを尽くす!」というMの号令のもと、ビールと焼肉を痛飲痛食(?)し、3人ともいい具合に酔っぱらって、第2回3人登山も無事幕を閉じたのでありました。以上おしまい。

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・・というわけで皆様、もしも今後、滋賀県近辺の山で昔のドリカム(または昔のELT)のような女1男2の比較的若めの3人パーティーを見かけましたら、多分しじみトリオだと思って、そっとしておいてくださいね。(ただし差し入れは大歓迎 ^-^ )

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