【竜ヶ岳】 滋賀県東近江市(三重県境)


本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

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竜ヶ岳/2004年11月21日 
 

竜ヶ岳の登山口は、紅葉で有名な滋賀県・永源寺町の東端、三重県との県境に位置する「石榑峠(いしぐれとうげ)」にあります。この峠、しじみとMはひそかに「グレイシー峠」と呼んでいます。なんか強そう。

この峠には、昔からの峠道である「八風街道」を車で登っていきます。これは「はっぷ街道(または「はっぷう街道」)」と読むそうです。でもしじみと友人Mはひそかに「やふー街道」と呼んでいます。どこかのスタジアムみたい。

ぐねぐねの峠道を、Mが愛車ジムニー号で華麗に(?)攻めていきます。石榑峠を見逃さないように、しじみは地図データ内蔵GPSを起動し、カーナビがわりに使ってみました。実際の車の速度より若干遅れてついてくる感じですが、しっかり現在位置を示してくれます。本当にお利口な機械です。見とれててすっかり車酔いしました。

石榑峠はちょっとした空き地で、誰の目にも分かる登山口でした。車酔いしたしじみは何だったのでしょうか。道の脇に車を止めて、さあ登山開始です。

最初は急登ですが、すぐになだらかな尾根になります。

まるで万里の長城のようです。ここも宇宙から見えるほどの長さではありませんが・・。「匈奴が攻めてきたぞー」とか言ってMと漢民族ごっこをしました。5秒でやめました。

そして頂上に着きました。ここの頂上は広いです。100人乗っても大丈夫です。見晴らしも360度見渡せて大満足です。一休みして、すぐ先へ進みます。快適な尾根道が続きます。


北側の尾根から見た竜ヶ岳

しかしホタガ谷に入ると、一転して道が荒れてきました。石がゴロゴロした急な下りが続き、川を渡る所では、今にも落ちそうなボロボロの丸木橋がかかっています。渡る間、頭の中でずっとインディー・ジョーンズのテーマが流れていました。さいわい落ちはしなかったけど。

そしてこの谷道の途中で、我々は不吉なものに出会いました。それはコレ。


わー!出たー!この禍々しい物体が岩の上から我々を見つめていました。ここから先に進むなというのか!我々にそんな脅しが通用すると思うてか!

・・でもちょっと怖かったので(しじみは根っから怖がりです)、拝んでから通りました。ちなみに多分サルの骨だと思うので、サルコウベ様という名前を付けました。サルコウベ様どうか祟らないでください。ついでにかわいい彼女との出逢いをください。

宇賀渓本流との合流地点にたどり着き、魚止めの滝で昼食。景色のきれいなところでした。

ここから宇賀渓の谷道をさかのぼって進むのですが、途中で道が分岐していました。「山道コース」と「川沿いコース」。「どうする?」というMに、しじみは楽そうな川沿いコースを希望。しじみは昔ばなしでいえば大きいつづらを選ぶタチです。欲張りで身を滅ぼすタイプです。この時も、その選択が全ての間違いでした・・。

「川沿いコース」は「川沿い」ではなく川そのものを遡上するとんでもないコースでした。川はすぐ急流になり、我々は切り立った渓谷の岩にへばりついて、わずかな凸凹に足をかけて進みました。踏み外したら川にまっさかさま、良くてずぶ濡れ、悪ければ流れに呑まれ、岩に激突して死亡です。サルコウベ様の祟りが効いてきました。

にわかロッククライマーになったしじみたちは、ゴキブリのように岩にはりつき、時に対岸の岩に飛び移って、忍者龍剣伝のごとくにアクションをくり返しました。(このネタ分かるかなぁ・・)運動神経抜群のMは何とかこなしていましたが、運痴のしじみはかなり厳しくなってきました。

 M
しじみ
「大丈夫か?引き返すか?」
「・・いや、このまま進む」

こう書けばかっこいいのですが、実はしじみは、登ったはいいけど降りられない箇所をいくつか越えてしまったため、進むしかなくなっていたのです。クライマーとして最低ですね・・。

そして、ついに絶体絶命の事態に。しじみにはどうやっても登れない岩が立ちふさがってしまいました。Mは登れたのですが、しじみの運動神経および度胸ではムリ。ここでMと別れて救助ヘリを呼んでもらうか・・と本気で考えました。

ふと思いました。約1mちょっとの対岸に跳べば、先に進める。でももし、跳んでとどかなかったら、滝壺まっさかさまで即死。勢いをつけ過ぎても、対岸の岩に激突して重傷。ウーム・・。

リスクは高いけど、こうなってはもはや跳ぶしかありません。しじみは顔面蒼白で1歩下がりました。わずかしかない助走スペース。そして・・

翔んだ!!

対岸の岩にぶつかりながらも、ケガなく着地。あードキドキした。初めて告白した17の夏よりドキドキした。サルコウベ様、試練を克服しましたよ!だから彼女くれ!

・・その後もしばらくクライマーな道が続きましたが、まあ何とかかんとか乗り越えて、国道421号にたどり着きました。石榑峠まで戻ってきたのは16:30頃。はっきりいってこのコースをナメてました。日が暮れてたらヤバいとこでした。深く反省。

さんざんな目にあったこの「川沿いコース」ですが、秘境だけあって、途中にすごい落差の滝が2〜3本あり、風景カメラマンなら捨てておけない絶景ポイントがいくつもありました。しじみはカメラを出す余裕とかいう以前に人間の尊厳まで捨てて岩にへばりついていたので、写真なんぞ1枚も撮れなかったのですが、クライミングに自信のある登山カメラマンの方なら面白いコースかもしれません。

でも危険な場所には違いないので、どうか岩登りにはくれぐれもご注意を!万一滝壺に落ちてもしじみに祟らないでくださいね!


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