電池式ランタン

テント泊やツェルト泊、あるいはシュラフ泊(?)専門のハイカーの方々にとっては、ランタンといえばガスランタンでしょう。明るさと暖かさはやはり電池とは一味違います。また、一般人の使わない特殊な道具として、マニア心をくすぐる魅力もあるのではないでしょうか。

しかし、しじみが高校山岳部に入った頃には、部の共同備品のランタンはガスから電池式に替わりつつありました。ガスランタンは火器ですから、未成年が不用意に扱って、つけたまま眠って火災になったり、酸欠になったりするのを高校山岳連が危惧したのでしょう。


電池式ランタン(逆さ吊り状態)

電池式ランタンは、暖かみがないのと、調理用ストーブからガスボンベを転用できない(=電池の分だけ荷物が増える)のが短所でしたが、スイッチを入れるだけの手軽さが好評でした。また、白色球と赤い豆球をスイッチ切替えでき、何の意味があるのか、白色球と赤豆球がせわしなく交互に点滅するという謎の機能もあって、テント内がディスコのような怪しい雰囲気に包まれ、一部の部員に大ウケでした。

そして、高校卒業後。大学生のしじみは、一時期登山からちょっと外れて、野宿や放浪じみたことをしていました。複数人で野宿をしているとやっぱりヘッドランプではもの足りなくなり、ランタンを買おうと思ったのですが、そこで普通にガスランタンを買えばいいものを、しじみが血迷って手を出したのがコレでした。

でかい。重い。単1電池が4個もいる。それでもガスランタンよりこっちを選んだのは、「グローブ(ランプカバー)に特殊加工がしてあり、虫が近寄りにくい」というふれ込みだったから。夏の野宿はとにかく蚊に悩まされるからです。

で、こいつを初めて使ったのが、山口県のJR美祢線・長門湯本駅という無人駅の駅舎で野宿した時でした。(駅舎で寝るのは、野宿マニアの間では「駅寝」というらしい・・人さらいとかオヤジ狩りにあいかねないので、よい子はマネしないように)

シュラフに半分潜りながら、このランタンをつけて、同行の友人たちとなごやかに談笑。蚊も寄って来ず静かに夜は更けて・・と思ったら蚊が来るわ来るわもう喰われまくり。何だこのランタン全然効力ないじゃないか!

いや、まあ、確かにランタンの光には寄って来なかったかもしれません。きっと蚊はしじみたちの呼気や体温をキャッチして寄ってきたのでしょう。結局は同じことだけど・・。

蚊の集中攻撃にあいながらも、まだランタンを何とかすれば蚊が寄ってこなくなると思いこんでいた天然バカのしじみは、怒りも手伝って、持っていた虫除けスプレーをランプカバーに思いっきり吹きつけました。そしたらカバーが真っ白になってすっかり暗くなってしまいました。

もう泣きたくなってフテ寝しましたが、蚊のせいで眠れず、夏だというのに明け方にはやたらと冷え込み、しじみたちは永遠とも思える夜を過ごし、早朝に湯本温泉に駆けこんで、ようやく人心地を得たのでした。その後このランタンはほとんど日の目を見ることなく、今に至っています。合掌・・・。

えっと。結論としては、蚊対策は別にとるとして、登山や野宿のランタンはガスランタンがいいと思います。でも、しじみのように2人または単独で幕営する人はそもそもランタン不要、ヘッドランプで十分です。闇の中で相棒と飲み語るのもなかなかオツなもんです。

しじみ
友人M
しじみ
友人M

「小学校の同級の○○さんが結婚したらしいよ」
「××くんはもう子どもがいるらしいな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

やっぱり我々には光が必要かも・・(いろんな意味で)



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