マグネシウムファイヤースターター

買ってみたものの、どうにも使えないモノの第2弾です。これは遭難時用のサバイバルグッズで、「濡れた枝や落ち葉でも火が着く」着火具として売られていました。

ライター大のキーホルダーで、材質はマグネシウムのかたまりです。これをナイフで削って削りくずをためておき、マグネシウムの背の部分についている火打ち金とナイフとを叩き合わせて火花を出して、削りくずに着火します。マグネシウムは非常に高温で燃える(2千度ぐらい?)ため、マキが多少湿っていても火がつくというわけです。

試しに少し削って着火してみたのですが、白い炎をあげて燃えあがり、なかなかの迫力です。なるほどこれなら雨にも負けない、これで遭難時もバッチリだ!!・・と当時のしじみ(高校生の頃です)はすっかり喜んだものでした。

しかし。それから10年。コイツは登山道具箱の奥で、牢名主のようにずっと鎮座しています。登山に持っていったのも最初のうちだけでした。山岳部で登山を数回経験したしじみは、気づいてしまったのです。

遭難した時は、たき火なんてしないんだ。

そうです。ケガをしたにせよ道に迷ったにせよ、遭難して日が暮れたら、テントかツェルトを張って寝袋かレスキューシートにくるまって、非常食をかじりながら寝る。これが鉄則です。どうしても暖をとりたい時はストーブを使います。マグネシウムの出る幕はないのです。

そもそも一晩中たき火をするには、相当な量のマキがいります(炭でもあれば別ですが)。日が暮れかけ、ビバークを余儀なくされてからあわてて集めた程度のマキでは、一発花火で終わってしまいます。
逆に、道に迷ったからといってまっ昼間からビバーク覚悟でマキ集めするというのもちょっと考えられません。

この製品はどうやらカナダ製らしいのですが、カナダの人はどういうシチュエーションでこれを使うのでしょうか・・とりあえずしじみは、雨天でもキャンプファイヤーを強行する時とか、そういう事態でしか用途を思いつけません。

読者の方で「こんな使い方があるよ!」というのを知っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。道具箱の隅で眠り続けるコイツを、そろそろハデに散らせてやりたいのです。

・・ていうか購入の事実を抹消したい。


【'05.3.28 追記】

読者の方から「ヘリや救助隊への遭難信号に使えるのでは?」との指摘がありました。なるほどそうですね!なんで気づかなかったんだろう(アホだから)。一発花火でも、ヘリの羽音が聞こえた時にファイヤーすれば、光や煙で見つけてもらえるかもしれませんもんね。

まあ、ヘッドランプを使うとか、鏡による日光反射の方が現実的かもしれませんが、持っていて困るほどの重さや大きさではないので、お守りがわりに持つべきかな・・と思いました。

また、こんなご意見も。
  • 長期登山で、ザックはベースキャンプに置き、最低限の道具だけを持って行動するような際には、非常用装備として良いのでは。
  • いつもたき火をする野遊び系キャンパーなら、たき火の燃焼補助用にいいのでは?灯油をぶっかけるよりはエレガントな方法かと・・。
  • 登山ではなく、飛行機や船で旅行する時にもっていくべき。不時着・沈没等によって山岳地帯や無人島に取り残された際には、たき火用サバイバルグッズとして活躍する。あるいは離島キャンプの時なども。
なるほど・・
わたくし自分の登山形態の中でしか考えてませんでした(自己中ですから!)。反省。

それと、まず何より、一度本当にこれを使ってたき火をしてからレビューを書くべきでしたね。そしたらより迫真のレビューが書けたかと・・。今度、友人Mと模擬ビバークをする予定なので、その時にハデに白い火花を散らすとしましょう!その際はまたご報告しますね。


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