三周ヶ岳2/2006.11.18


前回の雪辱を果たすべく、今度は岐阜県側・池ノ又谷の登山口に降り立ったしじみトリオ。こちらの駐車場は福井側よりさらに広く、50台かそれ以上は停められそうですが、それでもすでに7割ほどが埋まっているという盛況ぶりでした。相当な人気コースのようです。

登山道は徒渉箇所がいくつかあるものの、よく整備されて歩きやすいコースです。こちらは福井側より登山口が250mほど高いため、登りも緩やかで快適です。まあ福井側もこの季節(11月)ならけっこう登りやすいかもしれませんが( ^-^;)

11月半ばといえば紅葉の時期。ここ三周ヶ岳は冬の訪れが早い北陸の気候であり、標高がかなり高いこともあってもう終わりかけではありましたが、それでも赤・黄・灰色(落葉した木の枝)のコントラストがきれいでした。

道中の名所「幽幻の滝」も紅葉に包まれていました。

さらにこの先にもう1つ、「昇龍の滝」というのもありました。しじみはここでアッパーカットのジェスチャーをしたのですが、華麗にスルーされました。しつこく何回もやっていたら、たまりかねたMが「はいはい。昇龍拳ね。はいはい」としかたなく拾ってくれました。Kさんは昇龍拳自体を知らないようでした。なおジェスチャーし続けていて肝心の昇龍の滝を撮り忘れたので、適当に脳内補完してください( ^-^;)

夜叉壁の急登を越えれば、懐かしの夜叉ヶ池。今回もここで昼食です。ここは火器使用禁止なので、広口魔法瓶入りのホットコーンスープをあらかじめ用意してきました。3人そろってクピクピとスープを飲んでいると、夜叉ヶ池の自然保護ボランティアのおじさんが珍しがって尋ねてきました。

「それは何なの?へえ、魔法瓶!直接飲めるんかぁ。便利なもんやねぇ」
おじさんはすっかり興味津々の様子。この分では下山後にホームセンターへ買いに走ったかもしれません。このように、しじみはマイナーな山道具をいくつか持っているので、山で見知らぬ人々に「それなあに?」と聞かれることが多々あります。特に広口魔法瓶、ホットサンド器、空調服の3点については、ほとんど歩く広告塔だと思います。メーカーさん売上げマージンちょうだい( ^-^;)

昼食後はいよいよ三周ヶ岳アタックです。この先のコースはひどいヤブである、と種々の登山サイトで警告されていたのですが、晩秋のこの時期なら草木も枯れているだろうし、真のヤブを経験した我々にとって、パンピーが騒ぐ程度のヤブなど恐るるに足らず!・・としじみたちはけっこうナメてかかってました。

ところがこのコース、評判に偽りなしどころか、評判以上の特盛りのヤブでした。冬でもまったく衰えをみせない頑固な笹ヤブに、足もとはドロドロの泥濘。ヤブが切れたと思ったら痩せ尾根の急峻な岩場。そして岩場が終わったらまた笹のトンネル。徒渉こそないので、さすがに金糞岳深谷コースよりはマシですが、それにしてもおよそ一般コースと言えるものではありません。人が書いていることはちゃんと信じましょう・・( ^-^;)

ヤブをかきわけかきわけ頂上に近づくと、地表にうっすら雪が積もってきました。ミゾレ風のいわゆる腐れ雪で、泥濘にさらに拍車がかかります。泥雪を蹴散らしながらなおも前進し、ようやくスポンと頂上の小広場に出ました。


三周ヶ岳頂上。
あまり広くないです。三十(坪)ヶ岳?

頂上は北側の眺めが良く、曇りのこの日も荒島岳や白山までぼんやりと見えました。天気がよければ御嶽山なども見えるそうです。


頂上にて、友人MとKさん。
諸事情により一部にノイズがかかっております。

ヤブこぎで疲れたので休憩・・といきたいところですが、地面が腐れ雪で座れないし、それに時間がけっこう押しています。ここはとっとと引き返すことにしました。

しかし当然ながら、帰り道もヤブと岩場。相当に体力を消耗します。途中で小広い無名ピークがあったのですが、そこでついにMが杖を地面に突き立てて宣言しました。「コーヒー沸かそう。もう飲まなきゃ死ぬ」すかさずKさんもニコニコと同調。「うん、死ぬ死ぬ

押している時間のことがちらりと頭をよぎったのですが、座右の銘は「迎合」であるしじみが反論を展開するはずもなく(それに自分もコーヒー飲みたかった)、「おーオレも死ぬわ」と同調。結局そこでシートを敷き、ストーブを出してコーヒーブレイクに突入しました。MもKさんもどこに隠し持っていたのか、チョコやらせんべいやらクッキーやら、シート上にみるみるお菓子の山が築かれました。おまいら小学校の遠足か( ^-^;)それから約30分、危機的状況に背を向けたまま、なごやかな3時のおやつの時間を過ごしました。

エネルギーを再充填し、再び出発。この無名ピーク以降は比較的ヤブもマシです。30分ばかりで夜叉ヶ池まで戻ってきました。しかし時刻はすでに4時過ぎ。季節は晩秋、これから下りるのは太陽と反対側の東側斜面で、しかも谷底です。案の定、下っているうちに刻一刻と暗くなってきました。

池ノ又谷コースを半分まで下ったあたりで、ついに足もとが見えなくなってきました。この時点でしじみたちは日没時間も読めないでお茶してる最低ハイカーに確定_| ̄|○ さすがのニブトンカチトリオも少々不安になってきました。


Kさん
しじみ
「まあ、日が暮れたところで安全な道だし」
「いざとなれば、みんなヘッドランプもってるし」
「ツェルトもシュラフもありますよ」

安心させるつもりが、Kさんの表情が思いっきり固くなりました。もちろんビバークする気はさらさらなく、ただの冗談だったのですが、シャレになってなかった( ^-^;)実際にはヘッドランプを出すこともなく、すっかり暗くなる前になんとか駐車場に帰り着くことができました。

広い広い駐車場にはもう我々の車1台しかなく、ぽつねんと停まっているMのジムニー号が敗北感を倍増させてくれました。三周ヶ岳さん、やっぱりあんたは強かった・・。

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というわけで、東西いずれのコースから登るにせよ、日帰りで三周ヶ岳頂上を踏んでくるには、それなりの時間の余裕が必要です。挑戦される皆様は、登頂かおやつの時間か、どちらかを犠牲にする厳しい覚悟でのぞんでください!!(しじみなら次回はきっと登頂を捨てるな・・ ^-^;)

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