【水晶岳・羽鳥峰・釈迦ヶ岳】 三重県三重郡


■本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

羽鳥峰峠幕営1/2006.10.14-15


あのイブネ・クラシ縦走からたった6日後、 干したテントも乾かぬうちに、再び鈴鹿の幕営縦走を敢行してまいりました!うーん我ながら山バカ過ぎる( ^-^;)

今回目指すのは水晶岳・釈迦ヶ岳、そして幕営予定地は鈴鹿の中でもお気に入りの場所、羽鳥峰峠です。登山のお相手はKさん。テント泊の経験がなく不安がる彼女を、「羽鳥峰峠からは、それはそれはきれいな伊勢湾の夜景が見られますよ〜」などと口八丁を並べ立てて動員に成功しました。(しかしこれが後に裏目に・・。←伏線)

この辺りは滋賀県側からだと非常にアクセスしにくいので、今回は鈴鹿スペシャル当時には封印していた三重側コースをあっさり解禁しました。(なので正確には「滋賀県の山」ではないのですが、そのへん適当ですのでご容赦を ^-^;)早朝に滋賀から出発し、鈴鹿山地をぐるっと回り込んで、朝明渓谷に入ります。渓流沿いの道を車で延々さかのぼっていくと、朝明キャンプ場の駐車場。一般の車はどうやらここまでのようです。1泊の長丁場でもあることだし、ここに停めさせてもらうことにしました。駐車場のおじさんが区画まで誘導してくれました。

しじみ
おじさん
しじみ
おじさん
しじみ

おじさん
「駐車料はいくらですか?」
「500円です」
「僕ら明日の夕方まで戻ってこないんですが・・」
「ああ、それでも500円ですよ」
「(キャンプ場には一切お金を落とさないで)
 山の中でキャンプするつもりなんですが・・」
「そうですか、それはお気をつけて。登山地図は持って
 おられると思いますが、念のため、ウチで配っている
 コースマップをさしあげましょう」

・・・惚れた。(ToT)

しじみはこの前後からちょいちょい三重に進出して鈴鹿に登るようになったのですが、本当に毎度毎度、三重で出会う人は気のいい優しい人が多いです。いやあ、意外に三重っていいところなのかも・・(←今まで何だと思ってたんだ ^-^;)

駐車場近くのバス停ベンチで早めの昼食をとり、いよいよ出発。しばらくはキャンプ場区域内の広い道ですが、羽鳥峰峠行き・根の平峠行きの分岐を経てからは本格的な山道に。危険箇所はないのですが、徒渉がたびたびあって、靴を濡らしながらの行軍です。

いくつかの堰堤を過ぎ、やがて道は源流と重なりました。苔むした岩を滑らないように注意しながら歩きます。勾配はさほどではないものの、歩きにくくて疲れます。そして、もうそろそろ峠かという頃、突然道標テープが源流から南にそれました。

「ありゃ??地形的にはこのまま源流を詰めるはずなんだけどなあ・・」
理屈はそうでも、現場において道標テープほど説得力があるものはありません。自分のカンよりもGPSよりも細木数子よりも信頼できるのが道標テープです。歩きにくい源流に辟易していたのもあって、我々は峠まで100mもない地点で南に折れました。

しかし歩くこと10分、テープはビニールひもに変わって点々と続いているものの、いっこうに稜線と合流する気配がなく、トラバース気味に南下するばかり。我々の本来進むべきはであり、ここまで真逆に進むのはいくらなんでもオカシイ・・とさすがのテープ信奉者も怪しんで、結局引き返すことにしました。源流まで戻って、谷を詰めること数分・・なんのことはない、すぐそこが根の平峠でした。

いったいテープの道は何だったのでしょう。地形的に見ると国見岳・ハライドへのショートカットかな・・まあそれはそれで近道なのかもしれないけど、しかしいかにも迷い人を量産しそうな道です。バリエーションルートを作っている方々は、まず分岐点で行き先を明記してほしいものです。あなたの作った道をあの世行きの道にしないために・・。(

それはさておき、ようやく根の平峠です。やっとたどり着いた稜線は、何やらザワザワ騒がしい声。峠に出てみると、目に飛び込んできたのは色とりどりのザックと、てんでんばらばらの服装の少年少女たちでした。この懐かしい雰囲気、間違いありません。どこかの高校の山岳部です。20人ばかりもいるでしょうか。「こんにちは!」「こんにちは!」と威勢よく挨拶をしてくれます。若いっていいな〜。(←こういうこと書くと老けたなーと思う ^-^;)

「君たちどこの高校?へえ、三重の○○高校なんだ。今日はどこから?武平峠から縦走!そりゃすごいねえ。ああ、僕もね、高校生の時分は山岳部に入っててね、だから君たちを見ると懐かしくてね〜。今日はどこで泊まるの?僕らは羽鳥峰峠で泊まる予定なんだけどさ。一緒だといいなあ」

・・などとなごやかに談笑・・なんて人みしりのしじみにできるはずがありません。ただ曖昧な笑みと「こんにちは」みたいな尻すぼみの挨拶を返して、そそくさとその場を去りました。若い君たちはこんな大人になっちゃだめだよ〜。(※というわけで、上記の会話は全て妄想です ^-^;)

その後はKさんと今すれちがったばかりの彼らをネタに、妄想山岳部の話で大盛り上がり。
「きっとあの赤ザックのコが部のマドンナで、リーダーの青ザックとサブリーダーの黒ザックが彼女をめぐって三角関係になってて、でも実は彼女はあのイケメンの緑バンダナと密かにつきあってて・・」
Kさんはドロドロの人間関係を語らせたら天下一品です。

そんな話をしているうちに、いつのまにやら水晶岳分岐。分岐を折れてたったの数分、鈴鹿スペシャルでは踏めなかった隠れピークに、いとも簡単にたどり着きました。

水晶岳ピークはこぢんまりとした空き地で、中央には金網に囲まれた気象観測施設があります(※入って休めるようなものではありません)。地味ですが落ち着いた雰囲気の、気持ちのよいピークです。小さなメダルが落ちていそうな場所と言えば、分かる人には分かるでしょうか( ^-^;)眺望は南側が良く、国見岳や御在所山がドドンとそびえています。

水晶岳で一休みして、次はあの思い出の中峠です。丈の高い草に囲まれた狭い空き地は、一年前のままでした。猿に囲まれた夜を懐かしく思い出し、Kさんに語ってきかせました。
その後に続く金山も、相変わらずなんにもないピークでした。当時は確か1枚だけあったピークのプレートさえもなくなり、すっかり名無しの小ピークとなりはてていました。

さあ、その次はいよいよ羽鳥峰峠です。道が稜線を外れたと思ったら、視界がぽっかりひらけました。本日の幕営場所、しじみお気に入りの砂礫地帯に、ついに到着です。

「わー、すごいねー!」Kさんも歓声。山中とは思えない広々とした景色に、しじみも大満足。しかし・・東の方向に目をやった瞬間、しじみは凍りつきました。「あれ・・?」

見えない。伊勢湾も三重市街も、いやそれどころかふもとの朝明キャンプ場すら見えない。羽鳥峰および水晶岳から張り出した尾根で、東の展望はがっちりガードされ、空と山しか見えないのでした。しじみの記憶にあったのはいったいどこの風景だったのでしょう。完璧な記憶違いでした。

「街・・・見えないね」
「・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい

いや!いや違うんです!けっして幕営したさにだましたわけではなくて!しじみも勘違いしてたのです!信じてー!・・としどろもどろに謝るも、形勢は圧倒的に不利。
しかしそこはKさんもオトナで、「羽鳥峰のロケーションがいたく気に入ったので許す」ということで落ち着きました。うー、面目ない・・。_| ̄|○

そしてテントを張り、夕食の準備。水場の水量が思いのほか少なく、ペットボトルで汲むと砂が混じってしまうので、浄水器が役に立ちました。

夕食はこのところ定番のレトルトカレー+アルファ米。カレーをガツガツかき込んだ後は、Kさん特製の焼酎お湯割り(梅干し入り)をすすりながら、ロースターでガーリックトーストやスルメを炙り、炉端焼き気分(?)を味わいました。

結局、他にキャンプをする人はおろか通る人すらなく、そのまま静かに日が暮れました。テントに入ってラジオを聴き、オセロ勝負に白熱し、夜が更けて外に出てみると、空は薄曇りながらも、一面に星がまたたいていました。

今回初めて知ったことですが、星空というのは見つめれば見つめるほどに目が慣れて、最初見えなかった星が次々に現れてきます。標高1000mにも満たない地点ながら、すばらしい天の川がおがめました。ふだん友人Mとは、野郎同士で星空を眺めるなどということはしないので、新鮮な体験でした( ^-^;)

しじみ
Kさん
「うわー、こんな低い山でも、すごくよく見えますねー」
「街の灯りが届かないからねー」

だからごめんなさいって m(_ _)m

そう簡単には許してもらえないしじみでした・・。




※追記

この道はどうやら「ブナ清水」という場所に至る道のようです。山たまごさんが教えてくださいました!詳しくは山たまごさんの岳行ノートをご覧ください。入口の場所は違うようですが、いずれ合流すると思われます。
それにしても、なんかすごくイイかんじの所ですね〜!いつかまた行ってみたいです。スペシャルサンクス山たまご様!!( ^-^ )

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